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顕微授精(ICSI)

顕微授精

顕微授精(ICSI)とは

ICSIとはIntracytoplasmic sperm injection(卵細胞質内精子注入法)の略です。
顕微鏡下で観察しながら、卵子の細胞質内に精子を直接注入する方法をいいます。

顕微授精の適応

Q.顕微授精はどのような場合に行うの?

顕微授精のリスクと治療成績

顕微授精は、媒精(受精させる)方法が違うだけで、基本的な治療の流れや顕微授精後から胚発育の状態も体外受精と変わりません。また、妊娠率及び流産率も体外受精とほぼ同じで、先天性奇形の頻度の上昇も認められていません。
ただし、精子減少が遺伝子異常による場合が7~8%あります。この場合、精子造成能力に関する遺伝子が受け継がれ、男児が生まれた場合、精子減少症になる可能性があります。
また、治療全般にいえることですが、顕微授精は受精を保証する治療ではありません。

精巣内精子回収法(TESE)

精巣内精子回収法(TESE:testicular sperm extraction)とは

無精子症の(精液中に精子がない)男性不妊患者様の精巣から、直接精子を採取する手術方法のことです。精液検査を受けて無精子症と診断された場合でも、精巣内の一部に精子が存在することがあります。
手術で得た精子は未熟なため、受精能力が低く、原則、顕微授精(ICSI)を実施します。

精巣内精子回収法は、肉眼的精子採取術(simple TESE)と顕微鏡下精子採取術(micro TESE)の2種類があります。当院では、肉眼的精子採取術を実施しております(以下、「肉眼的精子採取術(simple TESE)」を「TESE」とします)。顕微鏡下精子採取術については、当院では実施しておりません。必要時、手術が可能な他施設にご紹介いたします。
また、当院で実施するTESEは、泌尿器科専門医による手術ではないため、男性不妊症治療の助成金対象外となります。泌尿器科専門医による手術をご希望の場合は、他施設にご紹介いたします。

どのような場合に行うか

手術の適応
閉塞性無精子症
精路がふさがり、精子が出てこられない状態。
精路再建(※)が難しい場合に適応
非閉塞性無精子症
精巣で精子が全く造られない、もしくはごくわずかの精子が造られるが、体外に出てくるほどではない状態。
適応
※閉塞性無精子症は、治療として精路再建術をすることがあります。精路再建術については、当院では実施しておりません。必要時、手術が可能な他施設にご紹介いたします。

上記症例以外に不動精子症、重度の射精障害の場合も、手術の適応となることがあります。

具体的にどのような手術か

  • 当院で実施するTESEは日帰り手術で、入院はありません。

  • 局所麻酔をして1cmほど陰嚢を切開し、そこから精巣組織を採取します。手術中に痛みがある場合は、静脈麻酔を使用します。

  • 採取した精巣組織は即時、胚培養士に渡され、精子の有無を確認します。

  • 数箇所の精巣組織を採取・確認後、切開した部位を縫合糸で縫い合わせて終了となります。

  • 回収処理後に精子が認められない場合は、他の箇所を切開して再度採取をします。

  • 手術時間はおよそ30~40分程です。
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