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妊娠について

妊娠を妨げる原因の検査とこれからの治療を理解しやすくするため、妊娠について簡単に説明します。

1.排卵

月経周期は脳の下垂体によって制御されています。下垂体は、卵胞刺激ホルモンと黄体化ホルモンという2種類のホルモンを放出します。卵胞刺激ホルモンは主に月経周期の最初の2週間に放出され、卵胞に包まれている卵子(または卵母細胞)の成長と発達を促します。
通常、卵巣では1つの卵子が卵胞刺激ホルモンの刺激を受けながら成熟していきます。個々の卵子はそれぞれ卵胞(嚢)にあり、卵胞はエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンを作ります。

月経周期開始から約2週間後、下垂体からの黄体化ホルモン分泌が急激に増えてきます。この黄体化ホルモンの急増はプロゲステロンを増加させ、体温を上昇させます*。また、成熟卵胞を破裂させ、卵子が卵巣から出てきます。これが排卵です。

2.精子の旅

排卵後、卵子は卵管の先端部に入り、絨毛の動きによって次第に子宮に向かって管を進んでいきます。卵子は、排卵後24時間まで受精可能です。
一方、精子は女性の体内で約48~72時間生存できます。つまり、受精の理想的な時期は排卵の3日前から排卵日までということになります。通常、排卵のはっきりした時期が分からないので、月経周期の9~16日目の間に定期的な性行為を行うと妊娠しやすいと考えられています。

3.受精

一般に、卵子がまだ卵管にあるときに精子は卵子と出会います。全てがうまくいくと、精液のなかの何百万個もの精子のうちの1つが卵子の膜を貫通し、母親と父親の遺伝子が結合します。精子と卵子の結合は「受精」と呼ばれ、受精した卵は受精卵と呼ばれます。

4.着床

受精卵は子宮に向かう途中で数回分割され、この段階から「胚」と呼ばれるようになります。卵胞はプロゲステロンを分泌する黄体に変化し、プロゲステロンが胚の着床に向けて子宮内膜を準備し、胚が子宮内膜に着床して妊娠が始まります。
着床後、最初の約8週間は黄体から分泌されるプロゲステロンが妊娠を維持するために重要となり、妊娠8週以降は、プロゲステロンは胎盤によって作られるようになり、黄体は次第になくなります。

黄体が正常に発達しない場合やプロゲステロンの値があまりにも低い場合、成長中の胚は子宮内膜とともに失われ、月経周期が再び始まることになります。
また、受精が起こらない場合や胚が子宮内膜に着床しない場合は、次第に黄体は小さくなりプロゲステロンが作られなくなり、子宮内膜は月経として脱落していきます。そして、月経の始まりとともに基礎体温は再び低下します。

*黄体化ホルモンの急増によるプロゲステロンの増加は基礎体温を約0.3~0.5度上昇させます。体温の上昇は通常、排卵後1~2日目に起こり、次の月経まで高い状態を維持します。基礎体温を毎日測ることによって、女性が毎月卵子を放出しているかどうか、つまり排卵しているかが分かるのです。
また、尿中の黄体化ホルモンを測定する簡単な検出キットもありますし、黄体化ホルモンの急増は通常の血液検査で検出することもできます。ただし、基礎体温と黄体化ホルモンの上昇が必ずしも排卵を意味しないことも覚えておいてください。
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